お知らせ・新着情報

360度評価(多面評価)を効果的に運用するためには

2016年 10月 5日

74ebcd2

前回は、人事評価やマネジメントに使われる360度評価(多面評価)についてでした。
実施することの効果として、自己評価との差に気づきや普段から人の動きを観察することが挙げられます。

今回は、360度評価を誰がするのかという評価者の選び方や実施することに対して気になるメリット・デメリットについてお伝えします。ここを十分に理解してから実施を行わなければ、効果が得られず、実施することが目的になってしまいますので頭に入れて、行動することが必要です。

評価者・被評価者選びの考え方

360度評価によって公正な評価をするには、適切な評価者選びが欠かせません。判断基準のポイントとしては、被評価者の業務を継続的に見る立場にあるかという点と、業務内容や求められている役割についてある程度知っているかという点です。

実際に評価者を選ぶ際は、被評価者と上司が相談のうえで、上記の条件に適する人を選びます。上司や会社が評価者を一方的に選ぶ形をとると、評価への納得感が低くなる恐れがあります。

1. 同僚による評価

メリット
同僚は被評価者と同レベルの仕事を行っていることが多く、被評価者の仕事内容や処理方法をよく理解しており、被評価者の納得感も高い評価者といえます。副次的な効果として、同僚同士が評価者・被評価者になることで、お互いがどのような仕事をしているかを深く知る機会が生まれ、コミュニケーションが円滑になることが見込めます。

デメリット
同僚による評価は馴れ合いや足の引っ張り合いを生む恐れもあります。仲間でありライバルでもある同僚という関係は、評価に感情が入り込みやすい点に注意が必要です。実施する前に目的を伝えて実施することが必要です。

2. 部下による評価

メリット
部下はじっくり上司のことを観察していて、口には出さなくても、上司の良いところと悪いところをよく見ています。こうした評価を対象にすることは、部下が360度評価に参加する一番のメリットといえます。

デメリット
一方、デメリットは、部下には上司の仕事がわかりにくい(理解しにくい)という点です。理解が少ない場合には、上司の行動がどのように伝わっているか、能力が発揮されているか感じている点を中心に実施していくことになります。

360度評価のメリットを生かし、効果的に運用するためには
1. 複数ある人事考課制度の1つとして運用する

かつては、360度評価を賞与や昇給などの処遇に直接結び付けようと考える企業が少なくなかったものの、360度評価のデメリットで紹介した課題などが浮かび上がるようになりました。そのため、現在では360度評価を直接処遇に結び付けるのではなく、業績評価とセットで実施するなど、複数ある人事考課制度の1つとして運用されています。

2. 能力開発に生かす

社員が自己分析をしたり、気づきを得たりする能力開発のための制度として、360度評価の結果を有効に活用する方法もあります。

たとえば、研修の場面での活用は有効な場面の1つとなります。研修の冒頭などで部下や同僚からの評価を紹介することで、研修の意義を確認したり、研修を通じて自分の強化すべき能力や研修の目的意識が強くなります。また、研修後も、360度評価と研修で学んだことを結び付けて整理することで、より研修で学んだ内容が定着するといった効果が期待できるでしょう。

まとめ

従業員にとっては、自己の能力・行動評価と他者から得られた自身への評価とのギャップがわかり、気づきが得られます。自分自身ができている・できていないにかかわらず、相手への遠慮や過大評価をなくし、素直に見て評価を行うこと、評価の仕方によって処遇が変わるかもしれないという不安を取り除くことによって、人事部や管理職の方は、自身が行っている対象者への評価と自分以外が行った他者への評価とのギャップから見方を変えていくことで気づきが得られます。
単に結果を返却するだけではなく、実施結果によって明らかになった課題を抽出したり、本人へのフィードバックがあってこそ機能する内容だと言えます。