人財育成はスキルだけではなく、マインドも重要
経営の3要素として「ヒト・モノ・カネ」と言われておりますが、最初に出てくる言葉は「ヒト」であり、企業の経営において人財の重要性が強調されています。
その育成に関しては、言うまでもなく、人財育成は企業の戦略に則った形で行わなければなりません。人財育成というと、スキル(技術・技能・能力)に目を向けがちですが、1人1人のマインド(意識・心構え)もポイントです。
戦略の実現に向けて社員・従業員・スタッフの価値観の変化に対応し、効果的・効率的に推進していくことが重要になります。
価値観の変化としてどのような変化が起きているのか
相手に強制させる(「北風型」)から自発的な努力を促す(「太陽型」)へ
社員の行動を管理して強制させようとする強制型に対して、社員の自発性を重視したマネジメントへの変化が起きています。これは童話の「北風と太陽」にたとえれば、北風のように強制してやらせようとする時代から、相手を太陽のように照らすことで自発性を促す時代へ変化していると言えます。つまり、管理型の目的は相手をこちらの思いどおりに動かそうとすることであるのに対して、今後のマネジメントの目的は相手が自発的に努力を促すことです。
強制型マネジメントの基本は、いわゆる「アメとムチ」を使って相手を自分の思い通りにコントロールしようとすることです。たとえば、「批判する」「責める」「脅す」などです。これは一言でいえば「恐怖」によって人を動かすことです。この場合、社員は恐怖を抱きながら仕方なく、自分が恐怖から逃れるために従います。短期的効果だけを見れば、このような「恐怖」によって人を動かすことでも一時的には成果を上げることがあるかもしれません。しかし、このようなマネジメントでは、お互いに心と心を通じ合わせることは不可能です。
その結果、「自分のような立場では何もできない」「どうせがんばったとしても、うまくいかないさ」と指示待ち、妥協などという心の壁を作り、自発的行動をとることが少なくなります。こうして、生産性はどんどん低下していきます。
心が通じ合わなければ、長期的な成長の実現は困難だと言えます。
人財育成の視点は「短期的な成長」から「長期的な成長」へ
今後の視点は、相手を信頼して支援することによって、いかなる困難に対しても果敢に挑んでいくように導くことです。それは「共感」と「尊敬」によって相手の自発性を促すことになります。このような接し方を行っていくと、強制型のような指示待ち、妥協などの心の壁は作られません。つまり、「今できることからやっていこう」「うまくいかないのは、うまくいくまでやっていないだけだ」という意識で、相手に責任を押し付けるのではなく、まずは自発的に物事に取り組むことができるようになります。そして、自分自身に自信を持ち、前向きに問題にチャレンジしていこうという気持ちを持たせることができるようになることがポイントです。
まとめ
社員一人ひとりが自発的に行動するように導くマネジメントは企業の長期的な発展においては不可欠な経営概念です。育成する側は、仕事に精通していることはもちろん、従業員1人1人のマインドをとらえて強制させるのではなく激励するような関わりを持つことが重要です。