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どんなに良い商品でも起こる情報不足による逆選択

2016年 5月 18日

良いものが必ず選ばれるわけではない

経済学でいう「市場」では、価格メカニズムを通じた競争によって良質な「商品」や「企業」が「市場」を通じて選択されるため、選ばれなかった悪質なものが淘汰されるシステムです。

しかしながら、必ずしも良質なものが選ばれるという事が起こらない場合があります。

良いものが必ず選ばれるわけではない、情報不足によって生じる問題例

例えば、自動者保険市場の場合、運転技術が高く、安全運転の意識が強いドライバーと、そうでないドライバーの区別がつかないために、保険会社が両者に一律の料金で保険料を課せば、安全運転のドライバーは割高に感じて、事故を繰り返す(起こしやすい)危険なドライバーには割安な自動車保険となり、結果的に運転に問題のある危険なドライバーだけが保険に加入する傾向が強まります。仮に安全運転を行うドライバーがいても、割安な保険は市場に出なくなり、市場は縮小していきます。そうすると保険は成り立たなくなります。

このようなことを逆選択と言います。逆選択は、市場に参加する主体がそれぞれ合理的に行動した結果、全体としては非合理な選択がもたらされる現象で、典型的な「市場の失敗」の一例です。

判断材料となる情報がお互いに不足しているために、相手に対して合理的な価値評価ができず、商品やサービスの性質、あるいは市場形態によっては、買い手または売り手の一方だけに情報が偏り、いずれかが不利な状況に置かれ、最終的に機能不全に陥ることが起きます。こうした市場を「情報の非対称性」が高いといいます。先ほどの自動車保険の例では、保険会社は、どの人が運転技術が高く安全運転の意識が強いドライバーか見分けることができないために一律で料金を設定したためこのような問題が発生しています。

2つの情報発信による情報格差の解決方法

情報発信は基本的には買い手と売り手の情報格差をお互いになくすことがポイントとなります。情報発信と言ってもPRだけではありません。行動や第三者を通じた方法で行うことで問題を解決することができます。

1.相手から情報を引き出す

保険の例では①保険料は安いが、補償金が安い保険と②保険料が高いが、補償金の高い保険という商品を2つ用意します。2種類の保険がある場合には、自分は事故を起こしやすい(補償金を受け取る可能性が高い)と考える人は保険料が多少高くても補償額の大きい保険を自然に選び、自分は事故を起こしにくいと知っている人は保険料が安い保険を選びます。こうした選択を通じて相手から情報を引き出します。

これはクーポン券に関しても同じことが言えます。相手が価格に敏感な人かそうでないかは売り手にとってはわかりませんが、クーポン券を提供したり、複数の価格帯の商品を提供したりすることで、お客様に選択肢を与え、行動や選択を見ることで企業は相手から情報を引き出すことができます。

2.相手に情報を発信する

売り手である企業にとっては、自身の事はよくわかっていますが、他者から見るとどのような企業か、商品の場合にはどのような商品なのかわかりにくいということや、相手に信用してもらえないという問題が発生します。こうした場合には、第三者機関が審査・検定を行い、買い手に対して財やサービスの品質を保証することで、企業や商品の信用度が上昇します。

また、新品の家電製品などでみられる一定期間の「無料修理保証」もこれにあたります。もし仮にメーカーが大量に欠陥商品を売ってしまえば、全て無料修理保証をしなければならず大きな損害を被ってしまうことになります。つまり「無料保証」を発信することは、メーカーが「自分たちが損をしないためにも質の高い商品しか売りません」という情報を発信していることになります。

他にも、省庁がこの食品は健康に効果がある商品ですと認証を出すことや、技能試験に合格した人に免許や資格を発行することもこれにあたります。品質が保証されることで情報不足から生じる消費者の選択を少なくすることができます。

情報発信の仕方はさまざま

お互いに不安に陥ることがないように情報を集めることと、情報を発信することが重要です。また、情報発信では必ずしも自己申告だけではなく、行動結果を情報として受け取ることや第三者からの評価を活用していくことも必要になります。